2025/11/14
食事+鍼で気持ち&体調アップ:糖尿病*抑うつケア

糖尿病とうつの両方に効く? 鍼×抗炎症食の併用で血糖値と気分に改善効果、8週間で明確に

糖尿病とうつを同時にケアできる新たな方法として、「鍼治療」と「炎症をおさえる食事」の組み合わせの効果が報告されています。

鍼治療を加えることで、不安や抑うつのスコアが約20%改善し、血糖値(HbA1c)やウエストサイズも有意に減少したことが明らかになりました。

心と体の両面に働きかけることにより、わずか8週間で確かな変化がもたらされたことでその応用が注目されます。

糖尿病とうつの両方に悩む人に向けて、鍼治療と、体の炎症をおさえる食事をあわせて行う方法が、気分の落ち込みや血糖値の改善に役立つことが分かりました。
 この研究は、イランの医療機関で行われたもので、2025年5月に海外の医学雑誌で発表されました。
 研究では、鍼と食事の両方を行ったグループ、食事だけを見直したグループ、ふだん通りの治療を続けたグループの3つに分けて、8週間にわたり体と心の変化が比べられました。

 

糖尿病とうつに鍼と食事の効果を確認

糖尿病は、血糖値が高い状態が続く病気で、治療には食事や運動、薬などを組み合わせた継続的な管理が必要です。
 また、糖尿病のある人は、気分の落ち込みや不安を感じやすく、うつ病をともなうことも少なくありません。うつの症状があると、生活習慣の改善や治療への意欲が下がり、血糖のコントロールも難しくなることがあります。
 そのため、体のケアだけでなく、気持ちの面からも支える工夫が求められています。
 今回の研究では、鍼治療と体の炎症をおさえる食事の組み合わせに注目しました。炎症は、糖尿病や気分の落ち込みの背景にあると考えられており、これをおさえることが体と心の両方の改善につながるのではないかという考えにもとづいています。
 研究チームは、こうした食事とともに、気分をやわらげるはたらきがあるとされる鍼治療を取り入れることで、より効果的なサポートができるのではないかと考えました。
 研究は、イランの医療機関で行われ、研究対象となったのは2型糖尿病で軽度から中等度のうつ病と診断された患者です。
 参加者は、無作為に3つのグループに分けられました。1つ目は鍼治療と炎症をおさえる食事を組み合わせたグループ、2つ目は食事だけを見直すグループ、そして3つ目はふだんの治療を続けるグループです。炎症を抑える食事は、
 鍼治療は、週に2回、顔や手足にあるWHO(世界保健機関)標準に基づく22カ所のツボに行い、合計16回実施されました。食事については、炎症をおさえる効果があるとされる食品(野菜、果物、豆類、オリーブオイルなど45品目)を多く取り入れるように工夫されました。内容は個人ごとに調整されました。
 3つのグループとも、研究開始から8週間にわたって、血糖値や気分の変化、ウエストサイズなどが比べられました。

気持ちも血糖も改善

8週間後、鍼治療と炎症をおさえる食事の両方を行ったグループでは、気持ちの落ち込みや不安のスコアが、ほかのグループよりもしっかりと下がっていました。

気分をはかる検査では、うつのスコアが19.0%、不安のスコアが20.7%低くなっており、改善が見られました。

また、血糖値を示すHbA1cという数値も、もともと平均で8.47%から7.65%に下がり、血糖コントロールの改善が見られました。さらに、ウエストサイズも小さくなるなど、体の状態にも良い変化が見られました。

研究チームは、鍼治療がこころを落ち着けたり、気分を前向きにする働きがあることに注目しています。また、体の炎症をおさえる食事を組み合わせることで、心と体の両方に働きかけられたと考えられます。

気分が安定することで、行動への影響を及ぼした可能性があり、それが血糖値の改善にもつながった可能性があります。

この研究は、薬だけに頼らない、やわらかいアプローチで糖尿病とうつの両方をサポートできる可能性を示しています。今後の研究次第で、日常的な治療への応用の可能性もあります。

 

参考文献

Irandoost P, Firouzjaei A, Heshmati J, Sadeghi E, Ayati MH, Namazi N. The effects of an anti-inflammatory diet alone or in combination with acupuncture on mental health, anthropometric indices, and metabolic status in diabetic patients with depression: a randomized, controlled clinical trial. Nutr Diabetes. 2025 May 2;15(1):18. doi: 10.1038/s41387-025-00373-y. PMID: 40316554; PMCID: PMC12048675.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40316554/

 

星 良孝(ほし よしたか)

ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。

 

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